身体均整法とは

身体均整法は、筋肉や骨格といった「運動系」を中心に観察・調整していく施術法です。

姿勢や体型、動きのスムーズさ、さらには体表にあらわれる変化には、こりや痛みだけでなく、内臓の状態や心のバランスまでが映し出されています。

均整法では、こうした運動系を通じて、からだと心の両面を整えていきます。

均整法の目的は、本来の健康な状態にからだを導き、活力や自然な美しさを引き出すこと。

歪みを整え、バランスのとれたからだへと調整することで、回復力を高め、日常をより快適に過ごせるようサポートします。

均整法の成り立ちについて

身体均整法は、亀井進氏が昭和26年に身体均整協会として設立したことに始まり、70年以上の歴史を持つ体の調整法です。亀井氏は、健康の問題は体の歪みや姿勢、動かし方に原因があると考え、国民の体力向上や精神の安定、人々がいきいきと暮らせる社会を目指して身体均整法を創始しました。

当時、戦後の医療改革の中で、伝統的な手技療法(療術)は全面的に禁止される危機にありました。亀井氏は、自身の難病を療術で克服した経験もあり、療術の法制化運動に参加しました。武道で鍛えた身心を活かし、さまざまな手技療法を学ぶとともに、体の重心やバランスの科学的研究とその回復法を開拓し、従来の按摩や指圧、柔道整復とは異なる視点で身体均整法の基礎を築きました。

その後、療術の法制化は実現しなかったものの、昭和35年に最高裁判決によって、療術が職業として法的に認められる立場が確立しました。亀井氏は愛媛県松山で開業しつつ、全国を飛び回って研修会を行い、「世のため人のため」という思いで均整理論の講義や技術指導に尽力しました。その結果、均整法の理論と技術は高く評価され、全国から受講者が集まるようになり、各地に協会の支部も設立されていきました。

後にこの技法に出会った小関医学博士も、その効果に驚き、昭和45年に東京身体均整学院(現・東都リハビリテーション学院)を設立。両氏は教育と臨床の現場でさらに技術を発展させました。昭和50年、亀井氏は64歳で生涯を閉じましたが、原典の編さんを残し、身体均整法の基盤を後世に伝えました。

身体均整法は、成立の過程で東洋・西洋の手技調整法や漢方理論などを取り入れ、骨格均整法・筋肉操縦法・脊髄神経反射法・十二種体型学・容姿改善法・頭蓋骨調整法など、多角的な視点で体を整える技術として発展しました。その独自の身体観は世界的にも珍しく、現在も多くの方の健康と生活の質の向上に活かされています。

体のバランスはなぜ大切か

身体の姿勢を作っているのは、筋肉と骨格、いわゆる「運動系」です。

運動系のバランスの崩れは、多かれ少なかれ誰にでもあります。

日常のくせや使い方によって、よく使われる筋肉とあまり使われない筋肉の差が生まれると、体は局所的に収縮したり、ゆるんだりする部分が出てきます。その結果、体がどちらかに傾き、特定の部位に余分な負担や疲労、痛みがかかってしまいます。

さらに、こうした局所的なアンバランスは、血流やリンパ、神経の流れにも影響し、体の内側の働き、たとえば臓器の機能にも負担をかけやすくなります。

体のバランスを整えることは、見た目の姿勢を整えるだけでなく、体の内側から健康を支えることにもつながるのです。

運動系が局所的に収縮・弛緩した状態は、血管・リンパ・神経といったものの循環障害を引き起こしやすく、内部器官の機能低下につながります。

身体の異常のレベル

身体の異常は、ある一定の順序で進んでいくことがわかっています。

まずは、動きがぎこちなくなったり、姿勢のバランスが崩れたりする「動作の異常」が現れます。次に、神経の興奮や弛緩による感覚の異常、さらに内臓などの機能の異常が生じ、最終的には病院で明らかな異常として検出される器質疾患に至ります。

問題なのは、器質疾患に至る前の段階、つまり「こりやすい」「筋肉や関節が痛む」「疲れやすい」「寝つきが悪い」といった生活上の不調です。こうしたサインは、まだ病院の検査では異常として現れませんが、体からの大切な知らせです。

均整法では、運動系の状態、動作のバランスや関節の可動域、動きの質などを丁寧に観察し、早い段階で体の違和感に気づき、整えていきます。

日常の小さなサインに気づき、回復をサポートすることが、健康を守る第一歩です。

体の歪みがつくられる要因

体の歪みがつくられる要因

身体は完全に左右対称でまっすぐな人はいません。ある程度の歪みは自然なものですが、疲れや加齢などで癖の歪みが固定化すると、不調の原因になってしまいます。では、体の歪みはどのような要因で生じるのでしょうか。

身体が完全に左右対称でまっすぐな人は存在しません。ある程度の歪みは自然にあるものです。しかし、疲れや加齢などによって、癖の歪みが固定化していくと、不調の原因になります。では、その原因になるものにはどのようなものがあるのでしょうか。

1.遺伝的要素

もって生まれた体の形は親に似るように、歪みの傾向も両親からの特徴を受け継ぎます。

2.環境的要素

日常の姿勢のくせも影響します。横座りや足組み、長時間同じ姿勢で本を読んだりテレビを見たり、片手だけで荷物を持つなど、同じ動作の繰り返しが歪みをつくります。

・職業での負担

仕事で片側ばかり使ったり、重いものを運んで腰に負担をかけたり、デスクワークで前かがみになったりすると、肩や首のこり、姿勢の乱れにつながります。

・発達、成長段階での影響

母胎の状態や出産時の影響、無理なトレーニング、老化による変形、病気や薬、食生活なども歪みの要因となります。

・外傷の影響

事故、けがなどによる傷や外的ショック、ねんざ、ムチウチ、頭を事故で強打したり、しりもちを強くついたりすると、局部の関節や組織に乱れが生じ、姿勢や動作の固定化を助長してしまう。強い打身やけがをしている場合、それが数十年前の過去のものであっても、体に影響が残っており、取れにくい歪みの原因になっていることがあります。

・精神的ストレス

過度の緊張や不安が続くと、頭部や首、心窩部(みぞおち)の緊張としてあらわれたり、呼吸が浅くなったりしてり、体の歪みをつくる要因となります。

・季節の影響

季節によって気温、湿度、気圧などは変化していきます。人間も他の生物と同様にそれらに影響を受けています。季節によっても体のしわよせ部位は変化します。

どういった刺激法か

身体均整法の特徴のひとつは、体の状態や目的に応じて、さまざまな刺激を使い分けることです。道具は使わず、施術者の手(場合によっては足)で行います。

主に次の五種類の刺激を、筋肉・骨格・経絡(つぼなど)に与えることで体を調整します。刺激の仕方や組み合わせによって、体に与える作用も変わります。

1. 運動性刺激

ひざを曲げたり、体を伸ばしたり、ゆさぶったりする刺激。体型を整え、細胞や組織に活力を与えます。

2. 圧迫性刺激

親指や手のひらで押す刺激。体の機能を高めたり、抑えたりする作用があります。

3. 叩打性刺激

手の小指側やこぶしで叩く刺激。体をゆるめ、器官の拡張や収縮をコントロールします。

4. 痛性刺激

親指の先で瞬間的に加える刺激。頭や感覚器官を活性化させます。

5. 触性刺激

手のひらで軽く擦る刺激。頭や感覚器官のバランスを整えます。

さらに、身体均整法の特徴的な方法として遠隔操法があります。たとえば、頭蓋骨の調整のために足から、腰の痛みを取るために腕から調整するといった方法です。

このように、体全体のつながりを意識して調整することで、自然な回復力を引き出していきます。